母になること。
映画をつくること。
身体を取り戻すこと。
そして、もう一度「自分」になること。
約10年の監督業休止を経て、タン・チュイムイ監督が自ら主演も務めて完成させた『私は何度も私になる』。
映画監督、俳優、脚本家、映画評論家ら国内外14人の言葉をご紹介します。
岩井俊二(映画監督)
役者と監督を目指す全ての人に見て欲しい。映画監督が主演女優としてここまで素晴らしい演技をするとは。見惚れてしまった。想像を遥かに超えて素晴らしかった。
草刈民代(女優・元バレリーナ)
奇想天外な展開に魅了されながらも、最後に残ったのは、地に足のついた静かな納得。人生について、こんな語り方があるとは思いもよらなかった。
暉峻創三(大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクター)
約10年の沈黙の時を経てたどり着いた監督の新境地、スケールアップ感の方が圧倒的に印象に残る。製作当時40数歳だった監督は、その間、38歳にして初めての子供をもうけ、41歳にして武術を習い始めたという。そのかけがえのない人生の経験が映画にダイレクトに反映しているのを、誰もが認めるだろう。監督自身が、出産・離婚を経て復帰を請われた有名女優という主人公を演じている点でも、新境地を感じさせる。
金子ありさ(脚本家)
半分夢なのか現なのか彷徨わせ、その境界線をはっきりさせない。薬草か漢方の効用のようにゆっくり半覚醒させる.アジアでしか生まれえない映画です。
矢澤利弘(アルジェント研究会代表・名古屋こわい映画祭プログラマー)
映画制作をする監督と女優の話をベースに現実の世界と映画の中の虚構の世界がないまぜになっていくマレーシア映画。タン・チュイムイ監督流の『8 1/2』か。ただ、そこには甘さはない。面白い構成でまんまと混乱させられた。
村田唯(映画監督・俳優)
母となり、強まる愛と怒りと映画の希望を。思想を懸けて無限に肉体をみせてくれたマレーシアの女性監督タン・チュイムイさんを私は一生忘れないだろう。その姿は純粋に面白くてかっこよすぎた。
ケイシー・チョン(映画評論家/Casey’s Movie Mania)
人生は、芸術を模倣する。その逆もまた然りだ。この映画は、タン監督の人生を描いた芸術であり、彼女の芸術を描いた人生だ。
マーヤ・コルベッカ(映画評論家/eastern Kicks)
タン・チュイムイのカムバック作は、虚構と現実を遊び回る変幻自在な子どもであり、レッテルやジャンルで縛られることをどこまでも嫌がる。映画史上に残る、愛すべき《野蛮人》な一作だ。
アドリアーナ・ロザーティ(映画評論家/Asian Movie Pulse)
マレーシア・ニューウェーブのパイオニアが、10年以上の監督業休止からの復帰で作り上げたのは、流水のようにあらゆるジャンルが移り変わる予測不可能なメタ・シネマだ。「母親になった女性が自らの人生を取り戻す」という普遍的なテーマを描いた映画で、これほど楽しく、驚きと興奮に満ちた体験を得られた作品はかつてなかった。
ロブ・アルダム(映画評論家・編集者/Backseat Mafia)
タン監督は本作の物語を通じて、心地よくもメタ表現に満ちた宇宙を展開していく。『私は何度も私になる』は、そんな宇宙の謎を解き明かす価値のある映画だ。
リー・ジャットン(映画監督/Film Inquiry)
タン・チュイムイでありムーン・リーでもある一人の人間は、スクリーンの中でも外でも、「母親」という存在を超える存在となる。
カルリート・パブロ(映画評論家・ジャーナリスト/Georgia Straight)
この映画は、適応し、進化し、その果てに幸福を見つけ出せる人間の無限の力を讃える。まさしく、人間讃歌だ。
マット・リンチ(映画評論家/In Review Online)
この映画が優れているのは、一人の女性の人生において繰り広げられる、仕事と母性の間での自己の駆け引き“だけ”じゃない(無論、タン監督の自伝的要素は素晴らしい質感で、本作の魅力の核の一部だ)。もう一つの魅力は、タン監督のプロフェッショナル魂が存分に発揮される、シンプルでスタイリッシュな格闘技映画も同時に観られることだ。
アンソニー・フランシス(映画評論家/The Movie Revue)
タン監督は、様々な名作オマージュというイタズラっ子のような遊び心を交えつつも、ひどく個人的な、だからこそ普遍的で感動できる、心と魂の旅を映し出した。
何度でも、自分になる。
母。
女優。
映画監督。
ひとりの女性。
そして、ひとりの人間。
14人の言葉を辿っていくと、
『私は何度も私になる』が、
どれかひとつの肩書きに人間を閉じ込めない映画であることが見えてくる。
虚構と現実を行き来し、身体を動かし、
映画をつくりながら、人はまた別の自分へと変わっていく。
人生は、一度決めた役を最後まで演じ続けるものではない。
タン・チュイムイ監督の『私は何度も私になる』を、ぜひご覧ください。
現在、U-NEXTほか、各動画配信サービスにて配信中。


