【REVIEW FILE】壊れていく、その先に。5人が語る『ハイポ』

精神が崩れていくとき、人は何を見て、何を信じるのか。主人公ウィルと、彼に寄り添う恋人ルーク。
『ハイポ』が描くのは、クィアであることそのものではなく、ひとりの人間が抱える不安、孤独、そして壊れていく心だ。ジャーナリスト、映画館支配人、国内外の映画評論家から寄せられた言葉をご紹介します。

北丸雄二(ジャーナリスト)

『ハイポ』はさらなる次の物語の段階を示しているのかもしれません。ウィルはゲイで、ルークという優しく献身的な恋人がいます。しかし、彼のゲイネスはこの映画の主要テーマである「精神崩壊」には関係しません。性的少数者であっても、性的少数者であることとは無関係にさまざまな問題を抱える、という当然のことを、改めて描くという──つまりこれは交差性の問題です。


坪井篤史(シネマスコーレ支配人)

Cinemagoさま、洋画配給作品10本おめでとうございます!すべてシネマスコーレで上映させていただけて光栄です。『ハイポ』不思議な映画でした。でも最後になると主人公の気持ちがわかってくるようになり、悲しくなりました。けして全編幸せになるような作品ではないのですが、観客それぞれが『ハイポ』から小さな幸せをみつけてもらえることを楽しみにしてます。個人的には狼男?の造形が好きです笑


メアリー・ベス・アンドリュース(映画評論家)

悪夢の旅路の果てに『ハイポ』が私に与えてくれたものは、何よりも「希望」だった。『ハイポ』は悲劇に満ちた救いなきクィアの物語ではなく、「クィアな未来」が秘める可能性を提示してくれた。


カット・ヒューズ(映画評論家)

クィアキャラクターの物語が、セクシュアリティのみに縛られる時代は終わりを迎えつつある。本作は、クィア映画が進むべき未来を指し示す、文字通り“進歩”的な作品だ。


レイチェル・シャット(映画評論家)

クィア性をその人間の「異質さ」として描く、ホラー映画・スリラー映画の慣習。『ハイポ』はそうした時代遅れな歴史文脈を巧みに回避し、ナラティブかつ画期的なクィア・スリラーを構築した。だからこそ『ハイポ』は、深みあるテーマを持ち、観る者の心を強く揺さぶる映画となった。

悪夢の向こうに、何が残る。

不安。
孤独。
精神の崩壊。
そして、ほんの小さな希望。

5人の言葉から見えてくるのは、
『ハイポ』が「クィアであること」を悲劇の理由にしない映画であることだ。

人は誰でも、それぞれの事情を抱え、壊れ、迷い、ときに誰かに支えられる。

悪夢のような時間の、その先に残るもの。
『ハイポ』を、ぜひご覧ください。
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