【REVIEW FILE】走れ、生き残れ。5人が語る『獄舎Z』

果てしなく広がるモンゴルの雪原。
更生施設から始まる、少年少女たちの旅。
そして、彼らの前に現れるゾンビ。

ビルグーン・チュルーンドルジ監督が描く『獄舎Z』
ゾンビ映画でありながら、その向こうにあるのは、自然、社会、命、そして「生き直すこと」。

俳優、映画評論家、映画ライター、ディストリビューターから寄せられたコメントをご紹介します。

冨栄ドラム(俳優)

モンゴルならではの壮大な景色から一気に映画の世界観に入り込んだ。更生施設の若者たちが助け合っていくのがいい。スリルあるアクションは目が釘付けになる。ラストは色々と想像が膨らんで余韻を楽しめるので、おススメ。


千浦僚(映画文筆家)

本作はモンゴルを打ち破り抜け出すことと、その地を慈しみ誇ることを同時進行させる。それがビルグーン・チュルーンドルジ監督らの世代の主題なのか。それが渦巻き、滲む本作を美しく力強い映画だと感じる。


渡部実(映画評論家)

コロナを克服したモンゴル人にとって、ゾンビはゾンビ以上の意味がある。つまり外国人が発想できなかった、より高度な社会的、政治的なメタファーとしての意味を持つゾンビではないか。ゾンビの存在が監督の確かな映画言語となっている。


糸魚川悟(映画ライター)

極限の状況下で繰り広げられる、命を懸けた矯正への旅路。善悪の基準が分からない少年少女たちが、ゾンビという脅威を目にすることで初めて「命」と向き合うこととなる本作は単なるゾンビ映画には収まらない魅力があります。常に自然と相対し、自然の恐ろしさを知るモンゴルで製作されたからこそ日本やハリウッドとは異なる死生観が目新しくも面白い、ゾンビ映画ファンの必修科目にしたいほどでした。


出町光識(プロデューサー)

映画とは《逃げの美学》である。つまりは走ることが初期衝動であり、サイレント時代をチャップリンが走り、60年代には名作『暴力脱獄』が走り、アメリカン・ニューシネマの代表作においては『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』が最も走った。人間とは常に《積極的逃避》を試みて走り逃げるもの。これらの要素がコンパクトに『獄舎Z』にはある。

逃げることは、生きること。

雪原。
ゾンビ。
更生施設を抜け出した若者たち。

けれど、彼らが逃げているのは、目の前のゾンビだけではないのかもしれない。

過去から。
社会から。
決めつけられた自分自身から。

5人の言葉の先に見えてくるのは、「逃げること」と「生き直すこと」が同じ方向を向く瞬間だ。

モンゴルの大地を、若者たちは走る。その先に何があるのか。
『獄舎Z』を、ぜひご覧ください。
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