映画「キラークイーン」シリーズ 愛子インタビュー|アンズとともに歩んだ時間、その先に見つけた俳優としての可能性

俳優 愛子 Interview

愛子(あいこ)

高橋佑輔監督によるSFアクション映画「キラークイーン」シリーズに、三河アンズ役で出演。2022年製作の短編『キラークイーンBEGINS』から、映画『キラークイーン/Beyond School』(2024年)、『キラークイーン/Phantom School』(2026年)まで、同じ役を継続して演じている。

主人公・業力レイナの幼なじみであり親友でもあるアンズを、繊細な感情表現で演じる。シリーズを通じて、身体の変化に対する恐怖や葛藤、友情、さらには憑依によって変貌する人物像など、多面的な演技に挑戦。長年にわたり一つの役と向き合ってきた経験を糧に、俳優としてさらなる表現の幅を広げようとしている。

( Chapter 01 )

自分自身を重ねながら、アンズという人物をつくる

──初めて台本を読んだとき、アンズという人物をどのように受け止めましたか? また、役づくりではどのようなことを意識されたのでしょうか。

愛子:台本を初めて読んだとき、自分とアンズの性格に似ている部分があるなと感じました。

当時は演技の経験もあまりなかったので、まずは自分とアンズの共通点を見つけて、自分だったらどう考えるか、どう行動するかを想像するところから始めました。

自分自身の感覚をアンズに重ねながら、役の気持ちを理解して、演技プランを組み立てていきました。

── アンズはレイナに対して、複雑な感情を抱えているように感じられます。二人の関係性や、アンズの内面をどのように表現しようと考えましたか?

愛子:アンズは、自分が山荘に行くことを誘ったからこそ、このような結果になってしまったという罪悪感や、レイナに対する申し訳なさを抱えていたと思います。

今までのような関係ではいられないという葛藤もあったと思うので、そういった気持ちが観ている方にも伝わるように、セリフの言い方や目線など、細かい部分を意識して演じました。

言葉にできない感情を、セリフだけではなく表情や目線でも表現することを大切にしました。

( Chapter 02 )

レイナとの絆、そして変わりゆくアンズの恐怖

──レイナを演じたサラハさんとは、撮影現場でも一緒に過ごす時間が多かったのでしょうか。共演を通して生まれた関係性について教えてください。

愛子:映像の中のレイナとアンズだけでなく、撮影現場でもサラハちゃんとは常に一緒に行動していました。

大変な撮影もありましたが、二人で力を合わせて、少しでもいい作品になるように頑張っていたので、自然とお芝居にもその関係性が表れていたのかなと思います。

自分一人でアンズを演じるというよりも、サラハちゃんが目の前にいて、レイナとしてお芝居をしてくれるからこそ、自然とアンズの感情やセリフを引き出してもらっていたと感じています。

役としての関係性だけでなく、撮影を通して築いた二人の信頼関係も、お芝居につながっていたのかなと思います。

──アンズは身体の触手化が進むという、非常に特殊な状況に置かれます。自分の身体が変わっていく恐怖や葛藤を、どのように捉えて演じられましたか?

愛子:アンズは、悩んでいる間にもどんどん触手化が進んでいくのに、誰にも相談できず、一人で抱え込んでいたんだと思います。

自分の身体が変化していく恐怖はもちろんあったと思いますが、その一方で、この状況を受け入れて何かに生かすことができるのか、それとも受け入れられないまま、自分が自分ではなくなってしまうのか、という葛藤もあったのかなと思います。

考える時間も十分にないまま状況が進んでいく怖さや、誰にも打ち明けられない孤独感を想像しながら、アンズの気持ちを考えていきました。

── 清村叶恵に憑依されたアンズを演じる場面では、普段のアンズとは異なる表現が求められたと思います。どのような工夫をされたのでしょうか。

愛子:清村叶恵に憑依されたアンズを演じるにあたって、実際の撮影で清村叶恵を演じている方のお芝居をよく見ていました。

声の出し方や目線、歩き方など、少しでも清村叶恵に近づけるように意識していました。

実際に目の前でお芝居を見ていると、本当に怖くて、自分にこの雰囲気を表現できるのか不安もありました。

ただ、アンズの中に清村叶恵が入り込んでいる状態だからこそ、普段のアンズとは違う空気感を出せるように、動きや表情を意識しながら撮影に臨みました。

( Chapter 03 )

富士山の見える撮影現場と、広がり続ける作品世界

──撮影中、特に大変だったことや、反対に楽しかった思い出を教えてください。

愛子:大変だったのは、やはり屋外での撮影です。外での撮影が多かったので、風が強かったり、寒かったりと、自然環境にとても影響された記憶があります。そのような状況でも、日没までに撮らなければいけないシーンがいくつもあったので、とにかく目の前の撮影に必死でした!

反対に楽しかったのは、自然に囲まれた場所での撮影です。撮影中に富士山が見えたり、普段なかなか行かないような場所に行けたりして、ロケーションもすごく魅力的でした。

大変なこともたくさんありましたが、きれいな景色を見られたり、普段できない経験ができたりして、少し旅行気分も味わいながら撮影を楽しんでいました。

大変だった撮影も、今振り返るといい思い出です!

──作品は劇場公開を経て、マルチバースという形でも世界が広がっています。長くアンズを演じてこられた立場から、この展開をどのように感じていますか?

愛子:最初に作品に参加したときは、ここまで大きく広がっていくとは正直思っていませんでした。

撮影を重ねるごとに作品の規模も大きくなっていって、劇場公開されたり、さらにマルチバースという形で世界が広がっていったりすることに、とても驚いています。

自分が演じてきたアンズが、こうして長く続く作品の中に存在していることもすごくうれしいですし、一つの作品がこんなにも大きく成長していく過程に携われたことは、貴重な経験だと思っています。

最初の頃には想像もしていなかった景色を、出演者として見させていただけていることに感謝しています。

( Chapter 04 )

監督と築いた信頼、アンズの先に広がる未来

──高橋監督とは、長い時間をかけて作品づくりを共にされてきたと思います。監督はどのような方で、俳優としてどのような影響を受けましたか?

愛子:高橋監督は、本当に作品に対する向き合い方がすごくて、いつも作品をより良いものにしようとされている姿が印象的です。

当時は演技の経験も少なく、自分のお芝居に不安があることも多かったのですが、撮影の際には監督がしっかり相談に乗ってくださって、一緒にアンズという役をつくり上げてくださいました。

自分一人ではどう表現したらいいのか分からないときも、監督とお話しすることで気づけることがたくさんありましたし、安心してお芝居に向き合うことができました。

アンズという役をここまで演じ続けてこられたのも、監督が支えてくださったからこそだと思っています。本当に感謝していますし、この作品を通してたくさんのことを学ばせていただきました。

── アンズという役を長く演じた経験は、ご自身に何をもたらしましたか? また、これから挑戦してみたい役柄や、目指している俳優像についてお聞かせください。

愛子:アンズを長く演じてきたことで、一つの役とじっくり向き合うことの大切さを学びました。

最初は自分と性格が似ている部分を見つけて、そこからアンズの気持ちを考えていくことが多かったのですが、撮影を重ねるうちに、自分とは違うアンズの感情や考え方にも向き合うようになりました。

また、監督や共演者の方々と一緒にお芝居をつくり上げていく楽しさも、この作品を通して知ることができたと思います。

これからは、アンズとはまったく違う性格の役にも挑戦してみたいです。自分とは正反対の人物や、今まで経験したことのない感情を持つ人物など、さまざまな役を演じることで、自分のお芝居の幅を広げていきたいです。

そして、観てくださる方の心に何かを残せるような俳優になりたいです。一つひとつの作品と丁寧に向き合いながら、いろいろな役や作品との出会いを大切にしていきたいと思っています。