【PRODUCTION NOTE】ある映画、その後。|新たな編集版の完成に向け

あるインディーズ監督による、
映画の新たな編集版の完成に向けて、伴走をしている。

本作の内容を簡単に言えば、難病を抱える女性と、その夫の物語だ。

少し大げさに言えば、中学生の頃に何度も見た、
吉永小百合主演の『愛と死を見つめて』(1964年)
とでも、言えるのかもしれない。
まあ、だいぶ盛っているか…シッケイ。

病気を治療するため、女性はある選択をする。
それに伴い、夫もまた、ある選択をすることになる。

愛する人を救うために別れを選び、
やがて、その別れを、
もう一度選び直さなければならなくなる。

本作の中心にあるのは、
単に「人を失う悲しみ」ではない。

失ったものが、まだ自分の中に残っている。

その不在とともに、

人はこれからどのように生きていくのか。

どのような選択をするのか。

その選択の先にある、
ひとつの成長の物語でもある。

Cinemagoでは、
この「喪失感」がより深く観客へ届く作品となるよう、

撮影済みの素材を生かした再構成、時間軸、

そしてサウンドデザインについて、監督と意見を交わしてきた。

その後、ボクからの提案を受け取ってくれた監督から、

一部の場面を削除・再構成し、

ふたりの関係により焦点を当てた、

新たな編集版に取り組んでいるとの報告が届いた。

映画は、撮影が終わった時点で完成するものではない。

同じ表情が、編集作業によって“喜びにも後悔にも”なる。
同じ言葉が、“約束にも別れにも”なる。

映像の順番や、音の重なりによって、
作品はまったく違う表情を見せ始める。

これは、日本映画学校時代、
学科の教員であられた浦岡敬一先生から教わったことでもある。

撮影された素材の中に、まだ別の映画が眠っていることがある。

それを見つけ出せるのか。

どのような映画として、新たに立ち上がるのか。

あるいは――
立ち上がれないのか。

まずは、新たな編集版の完成を待ちたいと思う。

作品の今後については、
 To Be Continued…

Written by

出町 光識

ライター編集者/プロデューサー・ディストリビューター
1968年 東京文京区に生まれ。日本映画学校 第一期生として卒業。
一度は撮影スタジオで助監督として働くも挫折。その後、震災にあったことを機に、ふたたび映画の道へ戻ることを決意。40代半ばにして、日本映画大学に編入学を果たし、映画理論を学びほぐす。卒業後には映画Web媒体でライター兼、編集長を経た後、映画配給を始める。現在は株式会社ゆかし代表となり、『朧の華火』『恋の遠隔操作』では製作を担当。
趣味は休日のプロレス観戦、仙女の推し活をしている。